〈独白する三兄弟が超怖い〉
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怪談ビルドゥングスロマン『セメント怪談稼業』上梓!




刊行から数十日が過ぎ、遅きに失しましたが、新刊の宣伝をさせてください!

当ブログの番頭、松村進吉の『セメント怪談稼業』が絶賛好評を博している模様です。

怪談文芸誌『幽』連載時から「え、私小説?」との風聞が飛びかっていた本作は、
松村進吉がバリバリの本業とするところの「実話怪談」の集成でありながら、
ある物書きの現実と過去がシームレスに語られる「小説家小説」であり、
ユンボや油圧ショベルの音が聞こえてくる土臭い「プロレタリア物語」であり、
家族との明け暮れを描いた「日常系エッセイ」であり、
巨大山脈からの吹き下ろしのごとき師匠の試練(無茶ぶり)などを乗り越えて、ヘタレ怪談作家が
たくましくなる「ビルドゥングスロマン」でもあるという、
ちょっと他にはない読み心地の、実話怪談の新境地を切り拓く意欲作となっております。

……私も読ませてもらって、工事現場にたまたま落ちていた木の棒でバッキバキに
後頭部をどつかれたようなショックを受けました。
怪談ファンはもちろん上記のジャンルをどれかひとつでも
好物とする本読みの皆々様におかれましては、
なにはともあれ一読をオススメします。

「眠たいこと吐かしてやがる、どうせ同じブログやってる人間の身内褒めだろーが、ペッペッ」
と、悪態を吐かれる向きもあるかと思いますが、それだけじゃ
済まない充実が本作にはあるんですよマジで。
いやほんとに、ちょっと読んでみた方がいいすよ騙されたと思って。
平山夢明×京極夏彦×東雅夫は、伊達やしがらみや温情で手厚い推薦文を寄せるような人たちじゃないんだから!
他じゃ読めません。一家に一冊、必読です!



〈感想続き〉


……ほんとにねえ、面白かったんですよ。こればっかりは嘘をつけないっすよ。
僭越ですけどちょっと感想みたいなものを書いてみると、

普通、実話怪談というと、書き手というか語り手というのは、能面のような無機質な面なり、
般若のようにビビらす強面なりをかぶって、読者たちと対峙するもんじゃないですか、
で、それは「肉付き面」のように皮膚に食い込んで、はがれない。はがれないし、はがさない。
はがしちゃったら台無しになっちゃうことのほうが多いから。

これっておおむね怪談書きの慣習になっていて、どんな面を選ぶかが個性になり、暗黙の了解になっていて、
松村の師匠・平山夢明も、福澤徹三のオジキも、その他なみいる現役の名手たちも、
覆してこなかった不文律だったと思うんです。

松村進吉は、以前からチラ見せの傾向はあったけど、本作でついに正面切って、
この「肉付き面」をベリベリとひっぺがしてみせる。
こんな素顔でござい御笑覧あれ、とばかりに。肉に食い込んだ面をはがせばもちろん、痛いじゃないですか? 
だけどそんな痛さも痛さにゆがむ表情も、皮膚からどばどばと流れる血も、ごまかすことなくさらしてみせる。
なんだったら、ウワー痛そうだけど痛いなりに痛快で気持ちよいもなのかなあ、と読者に思わせる
新鮮で潔い趣きすらあるんです。

肉付き面をひっぱがした松村進吉は、どんな素顔をしていたか?

そこが、この本のキモになってきますよね。
読者の前に現われたのは、驚くほどまっとうに、人間臭く、文筆人生にもんどりうちながらも
真摯に取っ組み合うガテン系作家のお顔だったんですよ。

なにしろ、地に足がついている。

米も釘もつくれなけりゃ、耕すことも漁ることもできない、
舌先三寸の作り事だけで生計をたてる温室作家とは根底が違っている。
ちょっと話が逸れるけど、あの震災以後、地面は不動ではないということを
誰もがあらためて痛感したわけで、
我々が拠って立つ地面は人間のためにあつらえられたもんじゃないというか、そういうことを多かれ少なかれ、みんなわかっちゃったわけでさ、
掘ればなにかよからぬものが出てくるし、家を建てたっていつかは壊れるし、道を開いても地面は割れる。
そういう無常感みたいなものが実地で染みついている
人間の肌身の感覚が、通奏低音のように全編にみなぎっていると思ったんですよ。

そんな書き手がつづるのは、含羞をつねに失わない、
丹念で、澄んだ文章で、
この筆致にリードされて数多のジャンルをよいこらせとまたぎ越し、たどりついた場所に
待ちかまえていたのは、たぐいまれなほど澄み切った二、三の美しい情景でありました。

笑わせて、しみじみ感動させて、心憎いばかりですよ。
というかこの人だからこそ、成立した「肉付き面ひっぺがし」だったんじゃないでしょうか。
彼だからこそけっして露悪の谷間に落ちることなく、おこがましい表現を使えば
「マイノリティ文学」の領域にも達していると感じられたから、俺はグッときたんです。
これは松村進吉のマスターピースになる一冊だし、実話怪談の可能性を拓くというお題目も、
あながち実験的な試みに終わっていないと思います。

そりゃあね、肉付き面をはぎとったぶんだけ、実話怪談としては食い足りなさもあるかとは思いますけどね。
だけど俺は、素顔をさらした作家が、向後、どんな怪談および小説を世に問うていくのか、ちょっと目が離せないと思いました次第です。

もっといろいろ書きたいことあるんだけど、調子こいてると、
どんどん長くなるので、あとは進吉っつあんが
上京したときにセメント感想を直に言います失礼しましたm(__)m
とにかくみんな読み逃したら損するよ!!!


コメント
おお!すばらしい!ひさしぶりに稼働したのだねえ~
2014/12/16(火) 13:31:47 | URL | #-[ 編集 ]
次の更新はいつですか?
待ち遠しいです。
2016/01/28(木) 00:14:08 | URL | 御三方のファン #-[ 編集 ]
みんなの乱れ歩き
[みんなの乱歩]の宣伝してよ!
買い逃すとこだったよ!夢明先生!(笑)

お松さまの推薦文が欲しいですなあ
(*´∀`人)
2016/03/20(日) 03:57:26 | URL | #-[ 編集 ]
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