〈独白する三兄弟が超怖い〉
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かわいいおねえちゃん
夕方、軽トラックで帰社中のこと。

前方から小学生の女の子ふたりが自転車に乗り歩道を走ってくる。
四年生と二年生くらいの、おそらく姉妹ではないかと思う。
お姉ちゃんはママチャリで、前カゴに巨大なスーパーの袋を満載し
自身の胴回りよりも太いナップサックを担いでいる。
妹は玩具めいたプラスティックの自転車。こちらは手ぶら。
どちらもつい目をとめてしまうくらいには整った、可愛らしい顔立ちをしている。
近くには団地がある。ふたりでおつかいであろうか。

すれ違うまであと五メートルばかりに近づいた時信号が変わり、俺は車を止める。
軽トラの横をスイーッと、眼鏡を掛けた三年生くらいの男の子が自転車で追い越す。
そのままガスン、とお姉ちゃんのママチャリに衝突した。
お姉ちゃんは半ば倒れ、前カゴから買い物袋を落とし、
ナップサックの重みに引っ張られて車道上に上体をまろび出させた。
器用だな、何だかハコ乗りみたいだなと思っていると目が合った。
きょとんとしていた。
長い睫毛がフルオープンになっていた。

眼鏡の男の子は十歳弱にして既にヲタ化の兆候が見られ、
転ばなかったのを幸い素通りするかどうか悩んでいたがお姉ちゃんがあまりに呆然と
しているものだから、口を半開きにしたまま自転車を降りて買い物袋を拾い始めた。

信号が青になったので車を出し、帰社した。


荷台に積んでいた泥だらけのスコップやら備中やらを降ろしながら
何でこんなにあのお姉ちゃんのきょとんとした顔が頭から離れないんだろうと
ずっと考えていたのだが、それはどうやらもし俺が信号で止まっていなかったら確実に、
軽トラ助手席側のフロントガラス下部であのお姉ちゃんの、
お人形さんみたいに切り揃えた黒髪の頭をポーン、
とドッヂボールのように跳ね飛ばしていたに違いないからだった。

謂わば、ほんの僅かな違いで俺にとって最悪の運命の少女になり損ねた相手の、
一生涯を縛られる因果/関係性を持つことになっていたであろう相手の、
最期の表情になる筈の顔だからだった。

俺は無闇に煙草をふかし、本を読み、気分が悪くなって七時間眠った。
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